月別: 2017年6月

近視は様々な病気の原因になります

近視は様々な病気の原因になります

一般的に近視と言えば「目が悪い」と評されますが、近視は将来的に目の病気を引き起こす原因になることが解ってきました。特に強度近視の人は、眼軸(目の奥行き)が長く伸長しているため、網膜などの組織も前後に引っ張られて薄くなっているため、将来的に目の病気になりやすいと言われています。
一般的にマイナス8D以上が高度近視と言われていますが、高度近視は日本における視力障害者の原因疾患の第5位にランクされています。まさか近視が失明の原因になるなんて、多くの人が知らないと思いますが、高度近視は将来的に網膜剥離や黄班変性症などの網膜疾患や緑内障など様々な病気を引き起こす原因となることがあります。しかし、大半の方が近視を病気として捉えていないため、高度近視であっても定期的に眼科を受診する習慣はないと思われます。本来であれば、高度近視の方は一定の年齢に差し掛かったら、定期的に眼科を受診して、病気の早期発見・早期治療に努めることが必要です。

近視予防は子供の頃に行うことが重要です

近視予防は子供の頃に行うことが重要です

近視の原因は、遺伝的要因と環境的要因であると言われていますが、仕事でパソコンを使用することが当たり前になり、スマホやゲームなどの普及によって、現代社会は近視になりやすい環境であると言えます。また、子供の頃から携帯電話やTVゲームなどに触れる機会が多くなってきたことで、近視の人口も増加傾向にあります。
特に強度近視の場合、将来的に目の病気にかかりやすいと言われていますので、子供の頃に近視の進行を予防することは、大人になってからの目の病気を予防することにも繋がります。

〇アトロピンによる近視予防
携帯電話やゲームなど、近くを見ることが習慣になってくると、眼軸が伸長する軸性近視の原因になります。一度、眼軸長が伸びてしまうと自然に戻ることはありません。そのため、眼軸長の伸びを抑えることが近視の進行を抑えることにつながります。
昔から弱視の治療や網膜剥離の予防などに使用されていたアトロピンには、以前から近視を予防する効果があることが解っていましたが、副作用の問題で近視の治療に応用されることはありませんでした。しかし、近年になって濃度を100倍に薄めても近視の予防に効果があることが報告され、ようやく近視の予防に使用されるようになりました。
強膜や脈絡膜に分布するムスカリン受容体には、眼軸長を伸ばす働きがあると言われています。低濃度のアトロピンであっても、眼軸長を伸長させるムスカリン受容体をブロックする効果があることが認められ、研究データでは約60%の近視抑制効果が報告されています。100倍に薄めたアトロピンは副作用もほとんど無く、子供の近視予防に有効な手段として日本国内の眼科でも取り扱われるようになりました。

〇オルソケラトロジーによる近視予防
オルソケラトロジーは、近視や乱視の治療方法として普及していますが、子供の近視予防にも効果があります。一般的なメガネやコンタクトレンズは、網膜の中心にピントが合っていても、周辺部分は網膜よりも後ろで焦点が結ばれます。そのため、周辺部の焦点のズレを矯正しようとする働きによって眼軸長が伸び、近視が進行する恐れがあります。
オルソケラトロジーは、網膜の中心にピントを合わせると、周辺部は網膜よりも手前で焦点を結ぶため、眼軸長を伸ばそうとする刺激が無く、子供の近視進行を抑える効果が認められています。すでに、国内でもオルソケラトロジーによる近視予防の治療が行われていますので、近視の子供がいるご家庭は、オルソケラトロジーの治療を行っている眼科に相談してみることも子供の将来にとって有効な選択肢のひとつです。

近視とは

近視とは

●近視とは
近視は、外から入ってきた光が網膜の手前で焦点を結んでしまい、近くの物は良く見えるが、遠くの物が見えづらくなります。近視には、2種類の近視があり、角膜や水晶体の屈折力が強いことで起こる屈折性近視と、眼軸(目の奥行き)が伸長することで網膜の手前で焦点を結んでしまう軸性近視に分類されます。

〇焦点を合わせる仕組み
人間の目は、近くを見る時は水晶体が厚くなり、遠くを見る時は水晶体が薄くなることで、焦点を合わせていますが、この水晶体の厚さをコントロールしているのが毛様体筋という目の筋肉になります。遠くを見る時は毛様体筋がリラックスした状態で水晶体は薄くなり、近くを見る時は毛様体筋が緊張して水晶体を厚くします。人間の目は、よくカメラに例えられますが、カメラでいうレンズの役割をしているのが水晶体で、それを動かしてピントを調節しているのが毛様体筋になります。

〇屈折性近視
近くの物を長時間見続けると、それだけ毛様体筋は緊張状態が続きます。毛様体筋の緊張状態が長く続くと、筋肉が凝り固まって水晶体を動かす機能が低下します。この状態を仮性近視といいますが、この緊張状態がさらに続くと水晶体は厚くなったままの状態になります。これが屈折性近視です。屈折性近視は、凝り固まった筋肉の緊張をほぐすことで近視が回復できる可能性があります。

〇軸性近視
軸性近視は、眼軸(目の奥行き)が長くなることが原因です。目の奥行きが長くなると、外から入ってきた光は網膜よりも手前で焦点を結んでしまいます。これを軸性近視といいます。屈折性近視を放置して近くを見ることが習慣化してしまうと、近視になろうとする働きによって眼球がラグビーボールのように伸長します。これが軸性近視へと発展する原因であるといわれています。軸性近視は、遺伝的な要因が強いとされていますが、眼軸長の伸びは成長期に起こりやすい特徴があります。軸性近視は眼軸が伸びてしまったことが原因のため、視力を回復できる可能性は低くなります。